女性のAGA(FAGA)とは?症状と対策をわかりやすく解説

薄毛が気になりはじめた女性の中には「これってAGAなの?」「どんな対策をすればいいの?」と不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、女性に見られるAGA(FAGA)の主な症状・進行パターン・セルフチェックのポイントをわかりやすく解説します。
また、予防法から治療法まで紹介しますので、薄毛の悩みを抱えている方はぜひ最後までご覧ください。
目次
女性のAGA(FAGA)とは?

FAGAは女性男性型脱毛症のことで、女性における薄毛の原因の1つです。
主に頭頂部の髪が全体的に薄くなる進行性の脱毛症で、加齢や女性ホルモンの変化が関係しているとされています。
1960年代から研究が始まり、当初は男性のAGA(男性型脱毛症)と同じと考えられていたため、AGAの頭に「Female」をつけたFAGAと呼ばれてきました。
しかし、その後の研究で症状の出方や原因に男女差があることが判明し、現在では「FPHL(Female Pattern Hair Loss)」という名称も使われています。
女性にも起こる「AGA」
AGA(男性型脱毛症)は男性特有と思われがちですが、女性にもFAGA(女性男性型脱毛症)と呼ばれる類似の脱毛症があります。
FAGAの原因は、男性ホルモン(DHT)の影響に加え、女性ホルモン(エストロゲン)の減少や遺伝的要因などが複雑に関与していると考えられています。
FAGAは、生え際が後退していく男性のAGAとは異なり、全体的に地肌が透けて見えるように進行するケースが一般的です。
特に、頭頂部や分け目を中心に髪が細くなり、ボリュームが徐々に失われていくのが特徴です。
FAGAは目立ちにくく進行もゆるやかなため、早期の発見と適切な治療が重要です。
FAGAとAGAの違い
AGAとFAGAは、どちらもホルモンの影響を受けて発症しますが、進行パターンや見た目の変化には明確な違いがあります。
以下に、AGAとFAGAの違いをまとめました。
項目 | AGA(男性型脱毛症) | FAGA(女性型脱毛症) |
---|---|---|
脱毛が始まる部位 | 額の生え際や頭頂部 | 頭頂部や分け目の髪が徐々に細くなる |
進行パターン | M字型の生え際の後退や、頭頂部も薄毛 | 髪のハリ・コシがなくなり、全体のボリュームが減る |
主な要因 | 男性ホルモン(DHT)の影響 | DHTに加えてエストロゲンの低下や年齢の変化など |
発症しやすい時期 | 思春期以降から徐々に進行する | 更年期以降に起こりやすい |
AGAは生え際が後退していくのに対し、FAGAは頭頂部や分け目の髪が細くなり、全体のボリュームが少しずつ減っていくのが特徴です。
また、FAGAは女性ホルモンの減少や加齢、出産後のホルモン変化など、複数の要因が重なって起こります。
FPHLとの関係
女性の脱毛症にはさまざまなタイプがあり、総称してFPHL(Female Pattern Hair Loss)と呼びます。
以前はまとめてFAGAと記していましたが、研究が進むに連れすべての症状を説明できないことが分かったため、FPHLという言葉が生まれました。
主に下記の4つに分類されます。
・FAGA(女性男性型脱毛症)
・円形脱毛症
・牽引性脱毛症
・分娩後脱毛症(産後脱毛症)
なお、FAGAはFPHLの1つであり、ホルモンバランスの変化が原因で起こる進行性の脱毛症です。
FPHLとFAGAの違いを理解することで、自分に合った対策を選びやすくなります。
FAGAはどんな症状が出るの?
女性のAGA(FAGA)の典型的な症状として、分け目や頭頂部の髪が細くなり、徐々に地肌が透けて見えるようになります。
髪全体のボリュームが減ってヘアスタイルが決まりにくくなったり、髪を結んだときに量の少なさを感じたりすることもあります。
さらに、髪が細く弱くなることで、切れ毛や抜け毛が増える場合も少なくありません。
FAGAは、ホルモンバランスの乱れや遺伝的要因が主な原因であり、女性特有の症状と進行パターンを持っています。
ここでは、FAGAの進行パターンと自分でできるチェック方法を解説します。
FAGAの進行パターン

FAGAは、進行の度合いに応じ「ルードヴィッヒ分類」と呼ばれる3つのステージに分類されています。
それぞれ症状の現れ方が異なり、髪の密度や地肌の見え方によってⅠ型〜Ⅲ型に分けられます。
分類 | 特徴的な症状 | 見た目の変化 |
---|---|---|
Ⅰ型(軽度) | 髪が細くなりボリュームが減少 | 分け目は目立たないが、頭皮がうっすら透ける |
Ⅱ型(中等度) | 分け目が広がり、地肌の露出が増加 | 頭頂部が明らかに薄くなり、他人からも気づかれる |
Ⅲ型(重度) | 髪が全体的に大幅に減少 | 地肌がはっきり見え、見た目に大きな影響が出る |
初期段階では薄毛に気づきにくく進行がゆるやかなため、症状に早めに気づいて治療を始めることが重要です。
まずはセルフチェックを
FAGAに初期段階で気づくことができれば、早期に治療を開始でき、進行を遅らせたり改善が期待できる可能性が高くなります。
そのためには、日常的にセルフチェックを行い、自分の髪や頭皮の状態を把握しておくことが大切です。
下記の項目に心当たりがある場合は、早めに専門医へ相談しましょう。
セルフチェック項目
1.髪の分け目が広がってきた 2.頭皮に地肌が目立つ箇所がある 3.髪が細く、コシやハリがなくなってきた 4.全体的にボリュームが減った 5.抜け毛が増えたと感じる 6.おでこの生え際がM字型になってきた 7.生え際が後退してきた 8.つむじ周辺の地肌が見えやすくなった
FAGAと間違えやすい他の脱毛症

FAGAは女性に多く見られる脱毛症の1つですが、似たような症状を持つ他の脱毛症と間違えやすい点には注意が必要です。
以下は、FAGAと混同されやすい代表的な脱毛症の種類です。
・びまん性脱毛症
・分娩後脱毛症(産後脱毛症)
・円形脱毛症
・脂漏性脱毛症
・牽引性脱毛症
それぞれの脱毛症には異なる原因や進行パターンがあり、正確な見極めが適切な対処への第一歩となります。
症状が似ていても治療法は異なるため、自己判断ではなく医師の診断を受けましょう。
びまん性脱毛症
「びまん性脱毛症」は、FAGAと共に女性に多く見られる脱毛症ですが、原因や進行の仕方には明確な違いがあります。
FAGAはホルモンと遺伝の影響で特定部位から進行しますが、びまん性脱毛症は頭部全体が均等に薄くなる点が異なります。
瀰漫(びまん)は「一面に広がる・はびこる」という意味で、髪全体のボリュームが失われていく疾患です。
特に、ストレスや栄養・睡眠不足、甲状腺機能の異常などが関係しています。
びまん性脱毛症は比較的早く進行するため「なんとなく髪が全体的に薄くなった」と感じた時点で、早期に診断を受けることが大切です。
分娩後脱毛症(産後脱毛症)
出産後2〜3ヶ月頃から突然髪が抜け始める「分娩後脱毛症」は、FAGAと混同されやすい一過性の脱毛症です。
妊娠中は、女性ホルモンのエストロゲンが盛んに分泌される影響で成長期が長くなり、出産後にエストロゲンが急減することで毛髪が休止期に入ります。
そのため、本来なら徐々に抜けるはずの髪が、まとまって抜ける現象が起こります。
さらに、産後のストレスや不規則な生活も脱毛を助長する原因とされているため、焦らず生活リズムの改善とストレスケアを心がけることが大切です。
なお、通常は数か月〜1年以内に自然回復しますが、脱毛が長引く場合は専門医の診察を受けましょう。
円形脱毛症
円形脱毛症は、突然一部の髪が抜け落ちる自己免疫性の脱毛症で、FAGAとは原因も症状の現れ方も異なります。
円形に髪が抜けるのが特徴で、進行が早く複数箇所に同時に現れることも。
発症には複数の要因が関係しており、以下のような原因が考えられています。
原因 | 説明 |
---|---|
免疫システムの異常 | ・自己免疫反応により毛包が攻撃され、髪が抜け落ちる ・家族歴があるとリスク上昇 |
精神的ストレス | ストレスにより自律神経や血流が乱れ、毛根への栄養が不足し脱毛が進行 |
アトピー体質 | 免疫過剰反応により頭皮が敏感となり、ヘアサイクルに影響 |
ホルモンバランスの乱れ | 妊娠、出産、更年期などによる女性ホルモンの変化がヘアサイクルに影響を与える |
円形脱毛症は早期発見と適切な治療が鍵となるため、気になる症状があれば早めに専門医に相談しましょう。
脂漏性脱毛症
頭皮がベタついて炎症を起こし、抜け毛が進行する場合は「脂漏性脱毛症」の可能性があります。
皮脂の過剰分泌によって頭皮環境が悪化することで発症しますが、原因として以下のような要素が考えられます。
・ホルモンバランスの乱れ
・洗髪のしすぎや不適切なシャンプーの使用
・マラセチア菌(常在するカビ)の増殖
・高温多湿な環境や紫外線の影響
特にマラセチア菌は、皮脂や汗をエサにして増殖しやすく、頭皮だけでなく顔や背中などにも炎症を引き起こすことがあります。
症状に気づいたら、早めに医療機関への受診を検討しましょう。
牽引性脱毛症
髪を強く引っ張るような習慣を続けていると、頭皮や毛根に負担がかかり「牽引性脱毛症」を引き起こすことがあります。
主な原因は物理的な刺激で、放置すると抜け毛が広がる可能性もあるため、早めの対処がおすすめです。
牽引性脱毛症となる主な原因は、下記のとおりです。
・髪を強く結ぶヘアスタイルの継続
・ヘアアイロンやコテの頻繁な使用
・エクステ
生え際や分け目など特定の部位に集中的な負担をかけるため、髪が細くなったり切れ毛や枝毛が目立つようになったりします。
予防のためには、定期的に髪型を変えたり、頭皮への負担を減らすスタイリングを心がけることが大切です。
FAGAの原因はさまざま

FAGAの発症には、複数の要因が複雑に絡み合っていることが多く、まずはその原因を知ることが大切です。
主な要因は以下の通りです。
・女性ホルモンの変化
・遺伝の可能性
・ストレスや自律神経の乱れ
・極端なダイエットによる栄養不足
・ヘアケアの影響
・睡眠不足
・飲酒や喫煙など
ひとつずつ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
女性ホルモンの変化
加齢や生活習慣の乱れによって女性ホルモンであるエストロゲンが減少すると、髪の成長サイクルが乱れ、FAGAが引き起こされる可能性が高まります。
エストロゲンは髪の成長期を維持し、健康な髪を育てる重要なホルモンですが、その分泌が減少することで髪が十分に育たなくなるためです。
さらに、女性の体内に存在する男性ホルモン(テストステロン)が、頭皮にある5αリダクターゼという酵素と結びつくことでDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されます。
DHTは髪の成長を抑制する働きがあり、結果として抜け毛が増加し、地肌が目立つようになります。
女性ホルモンは男性ホルモンに拮抗する作用もあるため、バランスが崩れることでFAGAのリスクが高まります。そのため、日常生活の中でホルモンバランスを整える意識が大切です。
遺伝の可能性
薄毛は遺伝の影響を受けやすいものの、それだけがすべての原因ではありません。
特にFAGAは、多くの遺伝子が関与する多因子遺伝によって発症リスクが左右されます。
女性は両親からX染色体を受け継ぎますが、薄毛に関係する遺伝子はX染色体以外にも存在するため、父方・母方どちらの祖父母からも影響を受ける可能性があります。
ただし、遺伝しやすい要素があるというだけで、必ず薄毛になるとは限りません。
ストレスや生活習慣、ホルモンバランスなど後天的な要因によって、発症や進行が大きく変わるため、早期の発見やケアをして対策しましょう。
ストレスや自律神経の乱れ
強いストレスや自律神経の乱れは、FAGAのリスクを高める要因のひとつです。
ストレスによってホルモンバランスが崩れ、髪の成長に必要なエストロゲンの分泌が減少するため、ヘアサイクルの成長期が短くなり抜け毛が増えます。
また、自律神経のバランスもストレスの影響を受けやすく、交感神経が優位になると血流が悪化し、頭皮に十分な栄養が届かなくなります。
さらに、睡眠の質も低下するため、髪の修復・成長が妨げられるという悪循環に。
FAGAのリスクを防ぐには、日常的にリラックスする時間をつくり、ストレスや自律神経の乱れをできるだけ抑えることが大切です。
極端なダイエットによる栄養不足
極端な食事制限を伴うダイエットは、髪の成長に必要な栄養素が不足しヘアサイクルが乱れるため、FAGAを引き起こす要因となる可能性があります。
タンパク質は髪の毛の材料になるため、タンパク質の摂取不足は、脱毛の原因にもなるので注意が必要です。
また、糖質制限を行うと、体のエネルギー源として髪の主要成分であるタンパク質を使うようになり、髪の成長が妨げられます。
また、ダイエット中の精神的ストレスによって自律神経やホルモンバランスを乱し、抜け毛リスクを高める要因となります。
健康的な髪を保つには、無理なダイエットではなく、栄養バランスのとれた食事と適度な運動を心がけましょう。
ヘアケアの影響
髪や頭皮に負担をかける誤ったヘアケアは、FAGAのリスクを高める要因になり得ます。
下記は、FAGAに繋がる可能性のあるヘアケアの例です。
・髪質や頭皮に合わないシャンプーやトリートメント
・洗髪方法を間違えている
・カラーやパーマの頻度が高い
洗浄力が強すぎるシャンプーを使うと頭皮が乾燥し、皮脂バランスが崩れて抜け毛が増えることがあります。
また、シャンプーのすすぎ残しや不十分な洗浄は、毛穴の詰まりや炎症を引き起こす原因にも。
カラーやパーマの頻度が多いと、髪自体がダメージを受け、切れ毛や枝毛になりやすくなります。
健康な髪を育てるためには、自分の頭皮や髪質に合ったヘアケア製品を使い、正しい洗髪を心がけましょう。
睡眠不足
成長ホルモンは睡眠中に分泌されるホルモンの1つで、髪の毛の成長に欠かせません。
特に就寝後すぐの深い眠り(ノンレム睡眠)で最も多く分泌され、毛根細胞の活性化や髪の再生を促進します。
睡眠不足になると、成長ホルモンの分泌量が減少することで髪の成長が阻害され、ストレスホルモンのコルチゾール増加から毛根の働きが低下することもあります。
さらに、自律神経のバランスが乱れるため、頭皮の血行が悪くなり、必要な栄養が行き届かなくなる恐れも。
健やかな髪を育てるためには、質の高い睡眠をしっかり確保することが大切です。
飲酒や喫煙など
タバコに含まれるニコチンは、頭皮の毛細血管の血流を悪化させるため、髪の成長に必要な栄養や酸素が十分に届かず、抜け毛や薄毛のリスクが高まります。
また、過度な飲酒は、アルコールを分解する際に大量のエネルギーや栄養素が消費されるため、髪の成長に必要な栄養が不足する可能性も。
特にビタミンB群や亜鉛など、髪の健康を保つうえで重要な栄養素がアルコール代謝で使われてしまうと、髪の成長が妨げられやすくなります。
髪の健康を守るためには、禁煙を心がけ飲酒は適量にとどめるなど、生活習慣の見直しが将来の髪を守るカギとなります。
薄毛予防と対策

FAGAは遺伝やホルモンバランスだけでなく、日々の生活習慣やストレスの影響も大きく関わっています。
薄毛を予防するためには、以下の対策が有効です。
・生活リズムを整える
・バランスの取れた食事
・髪にやさしいヘアケア
・紫外線対策
生活を見直すことで髪の健康を保ちやすくなるため、日々のケアや習慣を改善し、薄毛を予防しましょう。
生活リズムを整える
髪の健康を維持するうえで、生活リズムを整えることは重要です。
特に体内時計が乱れると成長ホルモンの分泌が妨げられ、抜け毛のリスクが高まるため、以下のポイントを意識して生活しましょう。
・毎日同じ時間に起床・就寝する
・朝日を浴びて体内時計をリセットする
・朝食をしっかりとる
・軽い運動を取り入れる
朝、体内時計をリセットすることで夜の自然な眠りを促し、髪の成長に関与する成長ホルモンの分泌を高める効果があります。
さらに、毎日同じ時間に起きて寝る規則的な睡眠リズムを意識すると、自律神経が整い、睡眠の質が向上します。
生活リズムを整えることが、結果として頭皮環境の改善につながります。
バランスの取れた食事
髪の健康を保つには、必要な栄養素を食事からしっかり摂取することが欠かせません。
栄養バランスが偏ると髪の成長が妨げられ、抜け毛や細毛の原因になるため、以下の栄養素を意識して摂取しましょう。
栄養素 | 働き・効果 |
---|---|
タンパク質 | 髪の主成分ケラチンの材料で、肉・魚・卵・乳製品などはタンパク質が豊富 |
ビタミン類 | 特にビタミンB群・C・Eは髪の成長を促し、健康を維持する |
ミネラル類 | 特に亜鉛・鉄・銅は髪の成長を促し、健康を維持する |
栄養バランスの整った食事を日々意識することで、髪の健やかな成長を内側から支えることができます。
髪にやさしいヘアケア
健やかな髪を育てるには、毛穴に詰まった皮脂や汚れを適切に除去し、清潔な状態を保ちましょう。
洗浄が不十分だと、頭皮に残ったシャンプー剤や汚れが毛穴を塞いでしまうため、洗髪には注意が必要です。
一方で、洗いすぎや強すぎる洗浄力は頭皮の皮脂を過剰に取り除き、逆に皮脂の分泌を招き毛穴詰まりの原因になります。
頭皮の汚れは悪循環を生むため、皮脂を取りすぎず、しっかりと汚れだけを落とすバランスの良いヘアケア製品を選びましょう。
適切なシャンプー選びと正しい洗い方で頭皮環境を整えることが、薄毛予防に繋がります。
紫外線対策
紫外線は抜け毛や薄毛の直接的な原因ではありませんが、間接的には大きな影響を及ぼすため注意が必要です。
頭皮に紫外線ダメージが蓄積すると光老化が起こり、皮膚のたるみやシミだけでなく、毛髪の成長に必要なタンパク質の合成を阻害します。
また、毛髪の主成分であるケラチンの合成が妨げられるため、髪が細くなったり抜けやすくなったりするリスクが高まります。
紫外線を浴びると、肌は自己防御のためにメラニン色素を生成しますが、防御機能には限界があるため、頭皮の健康を守るには日常的な紫外線対策が欠かせません。
帽子や日焼け止めなどで頭皮を守り、紫外線からの影響を最小限に抑えることが大切です。
FAGAの治療法とは?治療薬や治療の流れ

FAGAは、早期に適切な治療を始めることで進行を抑えられる可能性があります。
治療法には内服薬や外用薬といった薬物療法をはじめ、生活習慣の見直しや医療機関での専門的なケアなど、さまざまな選択肢があります。
症状の進行度や体質によって適切な治療法は異なるため、医師と相談しながら自分に合った方法を選ぶことが重要です。
ここでは、FAGAの代表的な治療薬や治療の流れ、副作用や費用について詳しく解説します。
治療薬と特徴
FAGAの治療には、内服薬や外用薬のほか、有効成分を頭皮に注入するメソセラピーなど、症状や体質に合わせた様々な治療法があります。
期待される効果や副作用は異なり、主な治療法は下記のとおりです。
項目 | ミノキシジル(内服) | スピロノラクトン | ミノキシジル(外用薬) | メソセラピー |
---|---|---|---|---|
期待される作用 | 血管拡張作用や毛母細胞を活性化せる作用があり、発毛効果が期待されるとされています | 男性ホルモンの働きを抑制する作用があり、抜け毛抑制が期待されるとされています | 発毛促進 | 発毛促進、育毛サポート |
使用方法 | 1日1回服用 | 1日1回25mg服用 | 起床時と洗髪後に頭皮へ1mlを塗布 | 2~4㏄のグロースファクターを頭皮下に注入 |
主な副作用 | 動悸、むくみ、多毛症など | 頻尿、生理不順、口渇など | アレルギー反応、頭皮の赤み、かゆみ | 頭皮の痛み、かゆみ、発疹など |
使用できない方 | 妊娠中、授乳中 | 急性腎不全、高カリウム血症など | 妊娠中、授乳中 | 妊娠中、授乳中 |
効果の目安期間 | 約3~6ヶ月 | 約3~6ヶ月 | 約6ヶ月~ | 約3ヶ月~ |
※スピロノラクトンおよびミノキシジルの内服薬は、日本国内において薄毛治療目的での使用は医薬品医療機器等法上の承認を受けていない「未承認薬」です。これらの治療は医師の裁量のもと自由診療として行われており、有効性や安全性が国内で十分に確認されているわけではありません。
治療の流れ
FAGA治療は、患者一人ひとりの状態に合わせた段階的なプロセスを通じて進められます。
治療を受ける前に、以下のような流れを理解しておきましょう。
ステップ | 内容 |
---|---|
①カウンセリング | 専門カウンセラーからFAGAの基礎知識の説明を受ける |
②マイクロスコープ診断 | 薄毛の進行度や毛根の状態を確認 |
③治療プランの提案 | 診断結果に基づき、薄毛のタイプに合わせた最適な治療法を提案 |
④各種検査 | 血圧測定や血液検査で、薬の適応や副作用のリスクを確認 |
⑤医師による診察と治療 | 専門医が症状や体質を踏まえて診断し、治療や薬の処方を行う |
⑥通院と経過観察 | 治療後は2週間〜1ヶ月ごとの診療で経過を観察し、必要に応じて治療内容を調整 |
副作用は?
FAGA治療に用いられる薬は、副作用が起こる可能性もゼロではありません。
治療薬ごとの主な副作用は、下記のとおりです。
治療薬 | 主な副作用 |
---|---|
ミノキシジル(内服) | 多毛症、ニキビ、動悸、息切れ、むくみ等 |
スピロノラクトン | 頻尿、電解質異常、生理不順、めまい、頭痛、口渇、食欲不振等 |
ミノキシジル(外用薬) | アレルギー反応、頭皮の赤み、かゆみ等 |
メソセラピー | 頭皮の痛み、かゆみ、発疹等 |
日常生活に支障をきたすような症状が見られた場合は、速やかに医師へ相談しましょう。
費用の目安
女性の薄毛治療は、治療法によってかかる費用が異なります。
治療を検討している方は、以下の費用目安を参考にしてください。
治療法 | 費用(目安) |
---|---|
内服薬 | 3,000〜20,000円 /月 |
外用薬 | 10,000〜13,000円 /月 |
メソセラピー | 30,000〜100,000円 /回 |
メソセラピーは、使用する薬剤の種類や注入量、治療する範囲などによって価格が変動します。
なお、治療費とは別に初診料や検査費などの追加費用が発生するケースもあるため、カウンセリング時に事前に確認しておくことをおすすめします。
FAGAの治療はどこで受けられる?クリニックの選び方

FAGA治療は、女性専門のAGAクリニックやオンライン診療を通じて受けられます。
近年では、女性特有の薄毛に特化したクリニックが増えており、専門的な診断と治療が受けられるのが特徴です。
また、通院が難しい方には、自宅にいながら医師の診察や薬の処方を受けられるオンライン診療も人気を集めています。
FAGAの治療は期間がかかるため、自身のライフスタイルや症状に合わせて続けやすい医療機関を選びましょう。
女性専門のAGAクリニック
FAGA治療を受ける際は、女性専門のAGAクリニックを選ぶのが最も効果的です。
専門のクリニックであれば、女性特有の脱毛症状に特化した体制が整っており、専門知識をもった医師による診察や治療が受けられます。
例えば、下記の点に注目してクリニックを選ぶとよいでしょう。
・医師の専門性や症例実績
・治療法の選択肢
・アフターフォローの充実度
・通いやすさ
症例実績の多い医師が在籍しており、治療法の選択肢が多いことで、症状や体質に合った治療が受けられる可能性が高くなります。
また、定期診察や生活指導などのアフターフォローが充実しており、生活圏内のクリニックを選ぶことで治療が継続しやすくなります。
オンライン診療という選択肢
オンライン診療は、定期的な通院が難しい方や近隣に専門クリニックがない方にとって便利な選択肢です。
スマートフォンやパソコンを利用して医師の診察を受けられ、治療薬は自宅へ配送されるため、人目が気になる方にもおすすめです。
また、定期配送サービスを利用すると、処方薬を割引価格で購入でき、治療のランニングコストを抑えられる場合もあります。
ただし、オンライン診療は頭皮の直接診察やマイクロスコープ検査ができないため、正確な診断が難しい点には注意が必要です。
オンライン診療を選ぶ際は、症例実績が豊富で信頼できるクリニックを検討しましょう。
FAGAに関するよくある質問

FAGAの治療に関するよくある不安や疑問について、わかりやすく解説しています。
副作用や妊娠・授乳中の注意点など、事前に知っておきたい情報をまとめているので、受診やカウンセリング前の参考にしてください。
FAGAは何歳から発症しますか?
FAGAは一般的に40代以降に多く見られますが、10代や20代でも発症する可能性があります。
FAGAの要因である女性ホルモンの減少は、加齢だけでなくストレスや生活習慣の乱れでも引き起こされるためです。
例えば、無理なダイエットによる栄養不足や睡眠不足、過度なヘアカラーやパーマなどが薄毛の原因となることがあります。
将来薄毛に悩まされないためにも、若いうちから生活習慣を整えることが予防につながります。
FAGAは自然に治りますか?
FAGAは進行性の脱毛症であり、進行性であるため、多くの場合自然には改善しづらいとされています。
放置すれば症状が悪化する可能性が高いため、早期に治療を始めることが重要です。
例えば、医療機関では頭皮の状態やホルモンバランスなどを詳細にチェックし、科学的根拠に基づいた治療を提案してくれます。
一般的なセルフケアでは改善が難しい場合もあるため、専門の治療を受けることで改善する例は少なくありません。
FAGAの改善には自己判断に頼らず、専門医のもとで早めに適切な対処を始めることが最善の方法です。
何科に相談すべきですか?
薄毛や抜け毛の原因は様々なため、自己判断で放置せず、適切な診療科を選ぶことが大切です。
以下の表に受診すべき診療科をまとめたので、症状に合わせて専門の医師に相談しましょう。
状況・症状 | 推奨される診療科 |
---|---|
薄毛や抜け毛以外に症状がない | FAGA専門クリニック |
頭皮の赤み・かゆみ・フケなど | 皮膚科 |
倦怠感・ホルモン異常の疑い | 内科 | 強いストレスや情緒不安定 | 心療内科 |
それぞれの症状に合った診療科を選ぶことで、早期改善につながる可能性が高まります。
妊娠中や授乳中でも治療できますか?
多くのFAGA治療薬が胎児や乳児に悪影響を及ぼす可能性があるため、妊娠中や授乳中の治療はできません。
特にフィナステリドやデュタステリドは、女性の服用が禁じられており、妊娠中に触れるだけでも胎児にリスクがあるとされています。
なお、妊娠中に活発になったエストロゲンの分泌が出産後に急激に減少することで、一時的に抜け毛が増えます。
この症状を「分娩後脱毛症」といい、多くの場合は産後半年~1年ほどで治まりますが、もし気になる場合は専門医への相談がおすすめです。
カラーやパーマは影響がありますか?
ヘアカラーやパーマは直接FAGAの原因になるわけではありませんが、頭皮や髪へのダメージを通じて悪影響を与える可能性があります。
薬剤の刺激によって頭皮が炎症を起こすと、毛穴や毛根に負担がかかり、発毛環境が悪化する恐れもあります。
カラーリングやパーマを楽しむ場合は、頭皮や髪に優しい方法を選び、施術頻度を抑えて利用しましょう。
もし薄毛の進行が気になる場合は、早めにFAGA専門のクリニックに相談するのがおすすめです。
まとめ|FAGAは正しく知って早めの対策を

FAGAは、加齢だけでなくホルモンバランスの乱れや生活習慣、ストレスなどさまざまな要因が関与する進行性の脱毛症です。
初期は分け目の広がりや髪のボリューム減少といった症状から始まり、徐々に進行するため、早期の発見と適切な治療が重要です。
また、FAGAの進行を抑えるためには、内服薬や外用薬、生活習慣の見直しなど原因に応じたアプローチが効果的。
早めの行動を取ることで髪の健康を守る選択肢は広がるため、気になる症状がある場合はできるだけ早く専門医に相談しましょう。
なお、自己判断や誤ったケアでは改善が難しい場合もあるため、専門クリニックでの診断を受けることが大切です。