AGA治療は保険適用される？費用の相場やコストを抑える方法を解説

AGA治療は保険適用外になる？

AGA治療は命に関わる病気ではなく、容姿を美化するための行為に分類されるため、保険適用されません。

AGA以外にも、EDや美容整形、レーシックやインプラントなどの治療は自由診療となり、保険適用外です。

自由診療は、保険診療に比べて高額になる傾向があります。しかし、医師と相談しながら治療方法の選択肢を増やせるため、より体質や症状に合った治療が可能です。

AGA治療の費用はクリニックによって異なるため、治療を検討する際はいくつか比較することをおすすめします。

AGA治療は医療費控除も対象外？

AGA治療は医療費控除も対象外となります。

医療費控除とは、1年間で支払った医療費の合計が一定の金額を超えた場合、所得税から一定の割合の金額が控除される制度です。

一定の金額とは、最大10万円です。1月1日から12月31日までの間に合計で10万円を超えており、治療目的の医療費を納税者やその家族が支払った場合に控除が受けられます。

医療費控除の対象となる主な例は、以下のとおりです。

・治療費や診察費
・入院費（食事代や入院中の部屋代などを含む）
・医薬品の購入費
・通院にかかる交通費
・リハビリテーション費用
・介護費用

上記のように医療費控除の対象となるのは、病気や怪我の治療・施術を受ける場合や、治療に必要なサービスや医薬品などにお金を支払う場合です。

一方で、容姿を美化したり、容貌を変えたりする治療は医療費に該当しません。

国税庁の法第73条では、医療費に該当しないものとして以下の文言が記載されています。

「いわゆる人間ドックその他の健康診断のための費用及び容姿を美化し、又は容ぼうを変えるなどのための費用は、医療費に該当しないことに留意する。ただし、健康診断により重大な疾病が発見され、かつ、当該診断に引き続きその疾病の治療をした場合には、当該健康診断のための費用も医療費に該当するものとする」

出典：国税庁「法第73条《医療費控除》関係 73-4健康診断及び美容整形手術のための費用」

薄毛治療のうち保険適用になるケース

薄毛治療のなかで、AGAが原因ではない以下の疾患による脱毛の場合、保険適用されるケースがあります。

・円形脱毛症
・粃糠（ひこう）性脱毛症
・脂漏性（しろうせい）脱毛症
・梅毒性脱毛症
・抜毛症

それぞれの疾患の詳細は以下のとおりです。

円形脱毛症

円形脱毛症とは、毛を作る毛包周囲に炎症が発生し、抜け毛が増える疾患です。

円形脱毛症を発症すると、10円玉程度の大きさの抜け毛が円状に出ることがあります。

また、眉毛やまつ毛、髭などにも起きる可能性があります。症状がひどい場合、頭全体または全身の毛がすべて抜け落ちる場合もあるため、早期治療が必要です。

円形脱毛症は、主に以下の4つに分類可能です。

・単発性通常型：頭部ひとつだけ円形の脱毛が生じる
・多発性通常型：円形の脱毛が多発する
・全身・全頭型：脱毛が全頭・全身に及ぶ
・蛇行型：頭髪の生え際が帯状に脱毛する

円形脱毛症の症状は一生に一度だけのケースもあれば、数回にわたって再発することもあります。

円形脱毛症の主な原因は、精神的ストレスです。また、アトピーがあると発症・再発する傾向があり、膠原病や甲状腺の異常などに関連して生じることもあると考えられています。

円形脱毛症を検査する場合、アトピーや甲状腺機能、膠原病に関連した血液検査が必要です。

円形脱毛症の治療法は、以下のとおりです。

・単発性通常型・軽症の多発型：外用薬（ステロイドやフロジン液など）、セファランチン（内服薬）
・中等度以上の多発型・全身/全頭型・蛇行型：紫外線治療や凍結療法、免疫療法やステロイド内服治療などを組み合わせる

粃糠（ひこう）性脱毛症

粃糠（ひこう）性脱毛症とは、大量のフケが出ることで発症する脱毛症です。発症すると、大量発生したフケが毛穴の周辺を塞ぎ、老廃物が蓄積されます。

老廃物がたまると、毛根にある菌が異常繁殖し、頭皮に炎症を起こします。ダメージを受けた毛穴や毛根は正常に機能しなくなり、髪が少しずつ細く弱くなった結果、脱毛が起こります。

粃糠性脱毛症の主な症状は、以下が挙げられます。

・頭皮が乾燥する
・フケが増える
・カサカサしたフケが目につく

脂漏性（しろうせい）脱毛症と症状が似ているため、混同されることがありますが、粃糠性脱毛症の場合はカサカサの乾燥したフケが出るのが特徴です。

粃糠性脱毛症の原因は、ホルモンバランスの乱れや皮膚アレルギー、誤ったヘアケアや生活習慣の乱れなどです。

治療法としては、ステロイド外用薬や抗真菌薬の投与、使用するシャンプーの変更やシャンプーの仕方の改善などが挙げられます。

脂漏性（しろうせい）脱毛症

脂漏性脱毛症とは、脂漏性皮膚炎が原因で生じるとされる脱毛症です。脂漏性皮膚炎は何らかの原因で皮脂が過剰になることで発症します。発症すると、かゆみや赤みなどの症状が出るのが特徴です。

頭皮に脂漏性皮膚炎が起こると皮脂やフケが毛穴を塞ぎ、老廃物が蓄積され、菌が増殖して炎症を引き起こします。

脂漏性脱毛症の主な症状は、以下のとおりです。

・頭がかゆい
・頭皮が脂っぽい
・フケが普段よりも多く出る

脂漏性脱毛症の原因は、ホルモンバランスの乱れや、脂質の過剰摂取、頭皮環境の悪化などです。

治療法としては、ステロイド外用薬の投与やビタミン剤の服用、使用するシャンプーの変更やシャンプーの仕方の改善などが挙げられます。

梅毒性脱毛症

梅毒性脱毛症とは、梅毒に伴って起こる脱毛症です。梅毒とは、梅毒トレポネーマと呼ばれる螺旋状の細菌によって引き起こされる性感染症です。

梅毒は主に性的接触によって感染する疾患ですが、妊娠中に感染すると胎盤を経由して胎児にも感染します。

梅毒は感染してから症状が出るまでの期間や、症状の出方によって以下の段階に分かれます。

梅毒性脱毛症は、第2期梅毒の時期に発症し、頭髪だけでなく以下のような部位にも脱毛を引き起こすのが特徴です。

・ひげ
・まつ毛
・脇毛
・陰毛
・眉毛

梅毒性脱毛症は、問診や視診、血液検査（梅毒血清反応）などを経て診断されます。治療する際は、ペニシリン系の抗菌薬を使用し、脱毛を改善していきます。

抜毛症

抜毛症とは、自身の体毛を繰り返し引き抜いてしまう精神障害です。抜毛症の対象は、毛髪だけでなく、まつ毛や眉毛、手や足などの毛です。

何らかの不安やストレスが原因で、体毛を引き抜いたり、切ってしまったりする症状があらわれます。

抜毛症の診断基準は以下のとおりです。

・毛髪を抜く行為があり、その結果として脱毛が生じている
・抜毛を減らす、もしくはやめることを繰り返し試みている
・その行為のために有意な苦痛もしくは機能障害を経験している

治療法としては抗うつ薬や抗不安薬、睡眠導入剤の投与や、行動療法などが挙げられます。

AGA治療の費用相場

AGA治療を受ける前に大切なのは、費用のシミュレーションをしておくことです。

AGA治療では、初診料として無料〜5,000円程度、再診料として1,000〜3,000円程度かかります。

また、検査料（血液検査・遺伝子検査・マイクロスコープ）として1回につき5,000〜15,000円がかかる場合があるでしょう。

さらに、治療法によって以下の費用が追加されます。治療を受ける前に費用相場を知り、どれくらいのコストが発生するかを把握しておきましょう。

AGA治療薬

AGA治療薬（内服薬・外用薬）の目安となる月額・年間費用は以下のとおりです。

メソセラピー

メソセラピーとは、頭皮に対して直接的に薬剤や栄養成分を注入し、髪の成長を促して薄毛の進行を防ぐ治療法です。

1回あたりの費用相場は、50,000〜80,000円程度です。AGAの進行具合や症状によって、内服薬と併用することもあります。

治療効果が確認できるまでに、通常3〜6ヶ月程度かかるため、月に1回注入していく場合は最低でも150,000〜480,000円程度かかる可能性があります。

毛髪再生治療

毛髪再生治療とは、自身の細胞を利用し、毛包内の毛母細胞を活性化させ、本来の発毛の働きを取り戻すことを目的とした治療法です。

費用相場は、1回あたり15万円程度です。長期的な効果が期待できるものの、個人差が大きく、複数回の施術が必要なケースがあります。

植毛治療

植毛治療とは、毛髪が残っている後頭部や側頭部から健康な毛包を採取し、薄毛が気になる部分に移植する治療法です。

植毛の種類には、人工毛植毛と自毛植毛の2種類があります。
植毛する本数によって費用が変動しますが、人工毛植毛の場合は1,000本で30万円程度、自毛植毛の場合は1,000本で100万円程度かかります。

AGA治療にかかる費用を抑える方法

AGA治療は自由診療であり、長期的なスパンで治療を受け続ける必要があります。治療費用を抑えるためにも、以下の方法を取り入れてみてください。

早い段階で治療を始める

AGAは進行性の脱毛症であるため、治療が遅れると、症状が悪化する可能性があります。AGAが進行していくほど、治療が長引き、費用が高額になる場合があるでしょう。

一方で早い段階で治療が開始できれば、一般的には、薄毛の進行をより効果的に遅らせられるため、費用を抑えやすくなります。

薄毛や抜け毛が気になる方は、速やかに医療機関を受診し、専門の医師に相談しましょう。

効果が実感できたら医師に相談のうえ減薬や薬の種類を検討する

AGA治療薬は薬によって異なりますが、最低4〜6ヶ月程度で効果が実感できるとされています。

治療効果が感じられた場合は、医師と相談し、減薬や薬の変更について検討されるケースもあります（※効果の感じ方には個人差があります）。

なるべく費用を抑えたい方は、医師に相談のうえ、治療プランの変更を検討してみてください。
※効果の感じ方には個人差があります。

ジェネリック医薬品を使用する

ジェネリック医薬品とは、「先発医薬品（新薬）」の特許が切れたあとに、それと同様の有効成分で製造・販売される薬です。

ジェネリック医薬品は、先発医薬品に比べて薬の有効性や安全性を証明するための研究開発費用がかからないため、5割程度安く設定されています。

期待できる効果は先発医薬品と同等です。AGAの治療費用を抑えたい方は、ジェネリック医薬品を使用しましょう。

オンライン診療を利用する

オンライン診療では通話やZoomなどで診療を受けられるため、直接クリニックへ足を運ぶ必要がなくなり、交通費を節約できます。

AGA治療は長期的なスパンで取り組む必要があり、複数回の通院が前提となります。とくにクリニックが遠方にある方は、オンライン診療を利用し、コストカットにつなげましょう。

複数のクリニックを比較検討する

AGA治療は自由診療であるため、クリニックによって費用が異なります。どうしても費用を抑えたい方は、クリニックごとの治療費を比較し、安い施設を選びましょう。

また、クリニックによっては数ヶ月分の薬をまとめて処方したり、定期プランを利用したりすることで費用を抑えられます。

治療を検討する際は、クリニックのホームページを確認し、契約内容や適用条件をチェックしてみてください。

モニター制度を利用する

クリニックによってはモニター制度を提供しているケースがあり、利用することで、通常よりも安価に治療が受けられることがあります。

場合によっては薄毛治療の費用を無料にしてもらえたり、交通費を全額支給され、謝礼をもらえたりすることもあります。

しかし、クリニックによっては以下のデメリットが想定されることもあるため、事前にモニター内容を確認しておくことが大切です。

・食事制限を指示されることがある
・ホームページ上に自分の頭皮が掲載される
・体質によってはモニター制度を利用できないこともある

※提供条件はクリニックごとに異なります。詳細は各院にご確認ください。

AGA治療の保険適用に関するよくある質問

AGA治療の保険適用に関するよくある質問とその回答は以下のとおりです。AGA治療をこれから検討している方や、少しでもAGA治療の費用を抑えたい方は参考にしてみてください。

AGA治療が保険適用外になるのはなぜでしょうか？

AGA治療は命に関わる病気に該当せず、容姿を良くするための行為であるため、保険適用されません。また、医療費控除も対象外です。

AGA治療と保険診療の併用は保険適用されますか？

同一の治療目的に対して保険診療と自由診療を併用することは原則禁止されており、AGAはこれに該当します。ただし、異なる目的・疾患での診療については、同日に保険診療と自由診療が行われることもあります。

AGA治療は皮膚科で受ければ保険適用になりますか？

AGA治療は、皮膚科で受診したとしても、保険適用されません。

薄毛治療のうち保険適用になるケースはありますか？

AGA治療は保険適用外ですが、以下のケースの場合、薄毛治療が保険適用されることがあります。

・円形脱毛症
・粃糠（ひこう）性脱毛症
・脂漏性（しろうせい）脱毛症
・梅毒性脱毛症
・抜毛症

女性のAGAも保険適用されないのでしょうか？

FAGAも美容目的とみなされるため、保険適用されません。

AGA治療は高額療養費制度の対象になりますか？

高額療養費制度は保険適用の医療費に対して適用されるため、AGA治療は対象外です。

AGA治療の費用を抑えるコツはありますか？

AGA治療にかかる費用を抑えるために有効な方法は以下のとおりです。

AGA治療が将来的に保険適用される時代はきますか？

現状では、AGA治療が保険適用される見通しは示されていません。

AGA治療を始める目安はありますか？

以下に該当している場合は、AGA治療の受診をおすすめします。

AGA治療を途中でやめるとどうなりますか？

AGAは進行性の脱毛症とされており、放置すると症状が進行する可能性があります。

最悪の場合、治療前の状態に戻ってしまう可能性があり、結果的に治療費用がかさむ可能性があります。

薄毛の改善を目指したい方は、自己判断で治療をやめないようにしましょう。

AGA治療はどのような流れで進むのでしょうか？

AGA治療を受ける場合、以下の流れで進行します。

1.AGAクリニックに連絡し、予約する
2.受付を済ませて問診票を記入する
3.医師による問診・カウンセリングを受ける
4.治療方法や費用、副作用などの説明を受ける
5.治療を開始する

周りにAGA治療を受けるのを知られたくない方や、仕事の関係でなかなか受診するタイミングがない方は、オンライン診療の受診がおすすめです。

AGA治療を受けるクリニックの選び方はありますか？

AGA治療を受ける際は、以下のポイントでクリニックを選ぶことをおすすめします。

・AGA治療の実績が豊富か
・治療方法が多岐に渡っているか
・AGA専門の医師が在籍しているか
・良い口コミが多数あるか
・治療費用がホームページ上で明確に記載されているか
・アフターフォロー体制が万全か

AGAは自力で治療できるのでしょうか？

医学的には自力での改善が困難とされています。

AGAの主な原因は遺伝やホルモンであり、食生活や睡眠環境を改善することで進行を抑えたとしても、根本的な解決には至りません。

AGA治療の副作用にはどのようなものが含まれますか？

AGA治療薬の主な副作用は以下のとおりです。

・初期脱毛
・動悸・息切れ
・むくみ
・頭皮のかゆみ・炎症
・めまい
・立ちくらみ
・低血圧
・体毛の増加
・肝機能障害
・勃起不全
・性欲減退
・精液量の減少

副作用はAGA治療薬によって異なります。詳細は医師へ確認してください。

AGAは保険適用されないため早めの治療を心がけよう

AGA治療は命に関わる病気ではなく、容姿を良くするための行為に該当するため、保険適用されません。医療費控除も対象外です。

AGA治療は自由診療であり、長期的なスパンで取り組む必要があります。そのため、事前に費用をシミュレーションしておくことが大切です。

AGAは進行性の疾患であり、治療が遅れるほど症状が悪化し、症状が深刻になるほど治療が長引きます。

一方で、早い段階で治療を開始できれば薄毛の進行をより効果的に遅らせることが可能になり、費用を抑えやすくなります。

そのため、少しでもAGA治療の費用を抑えたい方は早期治療を心がけましょう。また、ジェネリック医薬品やオンライン診療の利用などもおすすめです。

自分に合う治療方法を選び、薄毛の改善を目指しましょう。

ミノキシジルタブレットの未承認医薬品等に関する注意事項

ミノキシジルタブレットにおける未承認医薬品等に関する注意事項は以下のとおりです。

未承認医薬品等

本治療で使用されるミノキシジルタブレットは、国内で医薬品医療機器等法の承認を得ていない未承認の薬です。

入手経路等

この治療で使用される医薬品は、薬機法に基づき医師の判断により個人輸入しております。

国内の承認医薬品等の有無

国内において承認されている同効の医薬品はありません。

諸外国における安全性等に係る情報

長期的な安全性は評価されておらず、重大な副作用などが懸念されます。

医薬品副作用被害救済制度について

万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対応外となります。