「胸がドキドキする」「脈が飛ぶ感じがする」「脈が遅すぎて気分が悪くなる」「何もしていなくても心臓の音が強く聞こえる」。こうした自覚症状を「動悸(どうき)」と呼びます。
一方、検査によって心臓の電気リズムに異常が見つかった状態、病名が「不整脈」です。心臓は通常、1分間に60〜100回程度、規則正しいリズムで拍動しています。これは「洞結節」という司令塔から電気が送られているためです。

この電気信号のリズムが乱れ、脈が速くなりすぎたり(頻脈)、遅くなったり(徐脈)、リズムが不規則になったりする状態が不整脈です。重要なのは、「動悸がする=すぐに危険」とは限らないということです。しかし、中には脳梗塞や突然死につながる危険な不整脈も隠れています。まずは「ただの動悸」と自己判断せず、その正体を知ることが治療の第一歩です。
不整脈は、その危険度によって大きく2つに分けられます。当クリニックでは、患者さんの不整脈がどのタイプに当てはまるかを正確に診断します。
放置すると、失神をくりかえしたり、脳梗塞や心不全など命に関わる可能性があります。
心房が痙攣したように細かく震える状態で、”血栓”ができやすく、脳梗塞の主な原因の1つです。2025年に逝去された読売巨人軍の長嶋監督もこの心房細動から始まりました。
突然脈が速くなり(150回/分以上など)、苦しさを伴います。.5)、黄砂などがあります。排気ガスなどに含まれており、大きな車道に面した家に住むことが発症リスクを高めるといった研究結果もあり、都市部において問題となっています。
脈が極端に遅くなる状態(徐脈)で、めまいや失神を起こし、ペースメーカーが必要になることがあります。
心臓がポンプ機能を失う致死的な不整脈で、直ちにAEDや救急処置が必要です。背景に心筋梗塞や心不全、またミネラルバランスの異常や薬剤によって引き起こされることもあります。
病的な意義は低く、直ちに命に関わることはありませんが、症状が強い場合は治療対象となります。
「脈が飛ぶ」と感じる最も一般的な不整脈で、健診でもよく指摘されます。治療の必要がないこともありますが、頻度が多いときや、連発するとき、また、めまいや失神を伴う場合などは治療が必要となります。
運動や緊張で脈が速くなる生理的な反応で、多くの場合は治療の必要はありませんが、背景に甲状腺の異常や薬剤の影響などが隠れていることもあり、繰り返す場合は一度受診をおすすめします。
不整脈は心臓の病気だけでなく、日常生活や体質も大きく関わっています。
不整脈の診断で最も難しいのは、「診察室にいる時に症状が出るとは限らない」ことです。当クリニックでは、症状の頻度に合わせて最適な検査を選択します。
基本となる検査です。来院したその瞬間の心臓の状態を調べます。
小型の装置をつけ、24時間の心電図を記録します。夜間や明け方、階段を昇る際など、普段の生活の中で起きる不整脈を見つけることができます。
心臓の動き、大きさ、弁の状態などを超音波で視覚的に確認し、不整脈の原因となる心臓病がないか調べます。
貧血、甲状腺ホルモンの異常、電解質バランスなど、不整脈の誘因となる全身状態をチェックします。
診断結果に基づき、最適な治療法を提案します。
脈のリズムを整えたり、異常な興奮を抑えたりすることで「ドキドキ」を防ぎます。
特に「心房細動」の方には、脳梗塞予防のために血栓を防ぐ治療が必要となります。
心臓内部の異常な電気回路を焼灼し、根治を目指す治療です。特に心房細動や発作性頻拍に有効で、世界的に標準治療となってきています。治療が成功すると抗凝固薬(サラサラの薬)などの内服を終了できることもあります。
極端に脈が遅い場合や、致死的な不整脈のリスクがある場合に紹介させていただきます。
危険性の低い不整脈の場合、睡眠確保、禁煙、節酒、ストレス管理だけで症状が改善することも少なくありません。
近年、Apple Watchなどのウェアラブルデバイスの普及により、「心房細動の疑い」などの通知を受け取る方が増えています。当クリニックでは、こうしたデバイスのデータを診療に積極的に活用する「スマートウォッチ外来」をおこなっています。
従来の検査(24時間ホルター心電図など)でも、「検査をしている日に限って症状が出ない」という課題があり、我々としても患者さんの期待に応えられず、歯がゆい思いをしておりました。一方で、スマートウォッチは毎日装着しているため、「症状が出たその瞬間」や「自覚症状のない夜間の不整脈」を記録できる可能性が高く、診断の強力な補助ツールとなります。
★スマートウォッチの通知自体は「確定診断」ではありません。しかし、重大な不整脈の「早期発見のきっかけ」として精度が高いことが報告されています。 通知を無視せず、必ず医療機関で専門的な評価を受けてください。詳しくはApple Heart Study(英語)をご覧ください。
【お持ちいただきたいもの】
心電図の記録をPDFファイルで出力していただき、当クリニックにメールでいただくか、印刷して持参いただけますと診療がスムーズに行えます。ご協力をお願いいたします。
診察室にて、医師がスマートウォッチの記録データを確認します。
スマートウォッチのデータはあくまで「疑い」の判定です。確定診断のため、必要に応じて院内で以下の検査を行います。
検査結果とスマートウォッチのデータを照らし合わせ、治療方針をご説明します。
当クリニックでは、「不安を放置しない」「見逃しを防ぐ」ことを最優先に治療にあたっています。
医療機関での精密検査(心電図・エコー・血液検査)や、お持ちの方はスマートウォッチのデータを組み合わせ、多角的に評価させていただきます。
当クリニックで治療開始できる場合は開始させていただきます。一方でカテーテル治療やペースメーカーが必要と判断された場合は、速やかに大学病院や専門医療機関へご紹介し、適切な治療へつなげます。
特に「心房細動」による脳梗塞は、早期発見・早期治療で防ぐことができます。放置せず、将来の健康を守るためのサポートを行います。
A. ご自身のスマートウォッチで記録された心電図・心拍データの確認に加え、12誘導心電図、問診、必要に応じて24時間ホルター心電図や採血、心エコー検査を行い、不整脈の有無や重篤な疾患の発症リスクを総合的に評価させていただきます。
A. はい、ご自身のデバイスをお持ちください。当クリニックでの販売やレンタルは行っておりません。Apple Watch(Series 4以降)やGalaxy Watch (Series 4以降)など、心電図(ECG)記録機能があるモデルが有用です。ウェアラブルデバイスはたくさんありますが、1分間あたりの心拍数(Beats Per Minute: BPM)の情報のみのものも多く、心拍1拍1拍の情報が必要となります。
A. オムロンの「携帯型心電計 HCG-8010T1」などであれば有用ですが、”症状のある時”に測定する必要があります。
A. 通常の保険診療(初診料・再診料+検査費用)となります。特別な自費料金はかかりません。
A. はい。不整脈の原因が高血圧や貧血、甲状腺異常にある場合もありますので、内科的観点から総合的に診療いたします。
また、スマートウォッチでは「睡眠時無呼吸症候群」を疑う所見が見られる場合があります。詳しくは「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」のページをご覧ください。